音ゲー式PDCAサイクルの具体案
こんにちは。しえろです。
こんなに長らく更新していないブログにも毎日一定数のアクセスがあってびっくりしています。僕なんかが書く音ゲー技術論にも一定の(?)需要があるなんてありがたい話です。
今回は「PDCAサイクル」について書いていこうと思います。トップランカーの方々のTwitterとかを見ていると、「音ゲー上手くなるにはどうすればいいですか?」という質問に対して「しっかりとPDCAサイクルを回す」という回答(あるいはPDCAサイクルという単語を用いていないにしてもそれに類する回答)をされていることが多いです。ただ、そのサイクルの具体的内容についてまで触れている方は(僕の知る限り)あまりいなかったので、今回はあくまでPDCAサイクルという軸に沿ってどういう練習メニューを組めば良いのかを考察していきたいと思います。主に中級者向けの内容になると思います。
PDCAサイクルとは、目標の達成に向けてPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)のサイクルを繰り返すことです。ビジネスや教育の現場でこの単語を用いることが多いですが、スポーツやゲームにも応用可能、というか何かの技術を磨く上ではほぼ必須のマインドになってくると思います。
まずPDCAサイクルについて考える前に、前提として何かしらの目標を定めることが必要になります。もちろん最終的な目標は「音ゲーの上達」であるわけですが、何をもってして「上達した」と判断するのかの基準をもっと具体的なレベルで掘り下げましょう。つまり、①上達させたいスキル、②そのスキルのレベルの到達目標のどちらか、あるいは両方を設定しましょう。
例えば、「ソフラン曲への耐性をつける」というスキルを「PARANOiA HADES(A)をハードクリアできる」程度まで磨く、といった感じです。必要があれば「ソフラン曲への耐性」も「ギアチェンの技術」なのか「低速の見切り力」なのかも区別すると良いでしょう。
今回は、「卑弥呼(A)をハードクリアする」ことのみを目標として練習すると仮定して話を進めます。(今回はIIDXについて書きますが、もちろん他音ゲーでも手順は全く同様です。)
目標を定めたら、サイクルを回し始めましょう。サイクルなので、P、D、C、Aのどの段階から入っても構いません。とりあえず一回プレイしてみる(Do)のが早いと思います。その際、Checkに用いる資料としてプレイ画面および手元の動画があれば理想ですが、難しい場合は最低でもリザルト画面の写真くらいは残しておきましょう。(ハードクリアを狙う=今はハードクリアできないならこの段階ではEASYゲージでとりあえず最後までプレイするのがいいと思います。)
次にCheckの作業に入ります。つまり、「なぜ卑弥呼をハードクリアできないのか」の原因の分析です。卑弥呼のような特徴的な譜面だと様々な要因が考えられますので、できるだけ多角的に考える癖をつけましょう。「地力が足りないから」で片付けては意味がありません。また、この原因についても大枠と詳細という2つのレベルに構造化しておくと、後に対策を立てるのが楽になります。以下に原因として考えられるもの(の一部)を列挙してみます。(もちろんこれですべての可能性を網羅できているわけではないと思います。自分で当てはまると思うものがあれば他にも検討してみてください。)
①テケテンテンテテン地帯ができていない…
①-1.リズムを把握していない
①-2.縦連の速さに間に合わない
①-3.デニム配置が押せない
②低速(1回目)ができていない…
②-1.見切れない
②-2.ギアチェンのやり方(サドプラ操作orハイスピ変更、緑数字と白数字、タイミングetc...)を把握していない
③1バス地帯ができていない…
③-1.軸押しが苦手
③-2.苦手な軸が降ってきている(RANDOMハズレ)
③-3.そもそもこのレベルの物量への耐性が無い
④最発狂の二重階段地帯ができていない…
④-1.このレベルの物量への耐性が無い
④-2.皿複合を拾えない
⑤低速(2回目)ができていない…
⑤-1.見切れていない
⑤-2.ギアチェンのやり方を把握していない
⑤-3.ギアチェンが完了するまでにゲージが無くなる
⑥(全体として)GOODが多いせいでゲージの回復が間に合わない
⑦(主に中盤以降で)体力が無くなる
このような原因の列挙にあたってのポイントは、「モレなく、ダブリなく」です。上に列挙したものでいえば、①~⑤は譜面の一部に関するもの(いくつかの〇〇地帯に分解したうえでその地帯ごとの個別の原因)で、⑥・⑦は全体を通した問題になっています。また、①~⑤も(極めて簡単な地帯を除いて)曲の最初から最後までを網羅した形になっており、その原因の詳細も「知識 or 技術」という軸で分類しています。(知識が関係ないものもありますが。)
Checkが終わったらAct(改善策の検討・実行)に移ります。上記の問題点それぞれについて対応策を考え、実行できるものから順に実行に移します。この対応策に関しては1つの問題点について複数考えられることも、あるいは1つも考えられないこともありますから、自分ができる範囲でできるだけ多くの策を考えましょう。
①-1.リズムを把握していない
→textageで譜面を確認する、ハンクラ動画を聴き込む
①-2.縦連の速さに間に合わない
→逆餡蜜でごまかす、☆11・12S乱で縦連に慣れる、筋トレをする
①-3.デニム配置が押せない
→高速デニムの練習をする(環境があるならBMSが適切?)
②-1.見切れない
→☆9・10あたりを普段の0.5倍速で練習する、ギアチェンする
②-2.ギアチェンのやり方を把握していない
→調べる(wikiやトップランカーの動画等を参考に)
③-1.軸押しが苦手
→軸押し主体の曲(G59等)で練習する
③-2.苦手な軸が降ってきている(RANDOMハズレ)
→試行回数をこなす
③-3.そもそもこのレベルの物量への耐性が無い
→まだ挑戦段階ではないので☆12エクハ埋めなどで地力を錬成する
④-1.このレベルの物量への耐性が無い
→同上
④-2.皿複合を拾えない
→皿複合がある高密度譜面をこなす(コンフィ、3y3s等)
⑤-1.見切れていない
→☆11あたりを普段の0.5倍速で練習する、正規なら譜面(の餡蜜)を暗記するのもアリ(段位は特に)
⑤-2.ギアチェンのやり方を把握していない
→調べる
⑤-3.ギアチェンが完了するまでにゲージが無くなる
→ギアチェンの練習をする(=STARTボタンをスムーズに押せるようにする、ギアチェンのタイミングの見直し等)、そもそもギアチェンをしなくてもよいようなハイスピを検討する、低速をそのまま捌けるような練習をする
⑥(全体として)GOODが多いせいでゲージの回復が間に合わない
→FAST/SLOWの一方に偏っているなら判定をいじる、そうでないなら高BPMへの耐性が足りていないのでもう少し簡単なBPM200近い曲のスコア詰めをする
⑦(主に中盤以降で)体力が無くなる
→筋肉ですべてを解決する
こんなところでしょうか。
解決策を考えたら、これらをどのように実行するか(例えば「高BPM帯の練習をする」であれば具体的にどのような曲が練習曲として適切なのか)を考えます。これがPlanにあたります。そして検討したものを実行に移す(Do)。これでサイクル1周分になります。あとはこれをただ繰り返すだけです。慣れてくると、ここまでキッチリ考えなくても1プレー内の曲と曲の合間に改善点を見つけられるようになりますし、プレーの最中にも自分の欠点を意識することができるようになってきます。
きちんと目標を意識し、このサイクルを丁寧に回していけば、個人差はあれど確実に上達していくと思います。が、ゲームは所詮ゲームです(少なくともプロでもなんでもない僕はそう思っています)から、「なんとなくプレイする」時間もとても大事だと思いますし、やはり上達だけでなく楽しむことも考えた無理のない練習が結局上達への近道ではないでしょうか。
長くなってしまいましたがこんなところで。では。